5年ほど前から始めた渓流釣りに心を奪われているという話。
悪友からの誘い
学生の頃にいろいろと悪さやバカを一緒に繰り返し、ただただ毎日が楽しくて、そんな日がずっと続くとお互いに思っていた関係の友人がいる。
そんな悪友の部類に入る友人とひょんなことから、約20年ぶりに再開したことがきっかけで、悪魔の囁きに乗ってしまったのである。
「永遠に、幸せになりたかったら釣りを覚えなさい。」
悪友曰く、中国に伝わることわざとのこと。
その友人は、山梨と長野の境のとっても良い環境に恵まれたところに住んでいるのである。緑と木々に囲まれていて、そこから湧き出る恵みの水、まさに清流と気軽に戯れられるところであり、20年以上も渓流釣りに精通している猛者なのである。
美しいフォルムに魅せられて
わたしが普段行っている渓流釣りは、大別して2つの種類がある。
ルアーフィッシング:生きた餌を使う従来の釣りとは違い、疑似餌(ルアー)を用いて行う釣りである。
フライフィッシング:同じく、生きた餌を使う従来の釣りとは違い、毛ばりであるフライを使う釣りである。
どちらの釣り方も狭い渓流に適したものであり、澄んだ水が流れる美しい渓流には、「渓流の王様」と表されるイワナ、「渓流の女王」であるヤマメ、「七色の衣装」を身に纏うニジマスなど、総じて『トラウト』と呼ばれとてもきれいで、そのフォルムは惚れ惚れするような魚たちを育んでいるのである。
コーヒーブレイク
ここまで書いていると、毎回毎回渓流へ出向けば必ず釣れているかのような錯覚を起こしそうになるが、
残念ながら、世の中そんなに自分の思いどおりに、うまく事が運ぶことは・・・ない。
早朝から狙っていたポイントをいくつもいくつも巡っても、まったくもって釣れないときがある。。
「釣れない時は魚が考える時間を与えてくれたと思えばいい。」
作家である「ヘミングウェイ」が残した名言だそうだ。
そんな時には、デイパックのなかに忍ばせているミネラルウォーターのペットボトルと小型ガスバーナーコンロを取り出し、パーコレーターで少し濃い目にコーヒーを抽出して、自然のど真ん中でマイナスイオンを浴びながら、ヒーリングを兼ねて、淹れたてのコーヒーを飲むことは最高である。・・・と負け惜しみをつぶやいてみる。
釣れない悔しさを噛み殺しながら、孤独と闘って深く考えを巡らすことも、また悪くないのである。。
至福のひととき
釣ったトラウトたちはその場ですぐに捌いて、気の置けない仲間たちと炭火を起こして、焚き火を囲みながら塩焼きを頬張りながら、渓流釣り談議に花を咲かせることが楽しみである。
ただし、それだけでは楽しみは終わらない。
いくつかの型のよいトラウトたちは血抜きをして自宅へ持ち帰り、燻製にすることもまた格別な楽しみでもある。
「ソミュール液」という高濃度の食塩水につけ、塩抜きをして、陰干しをして、寝かせて、スモーカーで燻製に。なかなか手間のかかる作業ではあるが、出来上がったそれは、なんとも美味しいのである。
燻す煙材である『スモークチップ』も最近はいろいろとバリエーションが豊富で、肉にも魚にもオールマイティーに使える「ヒッコリー」、香りがやや強めでクセのある食材に向いている「サクラ」、色付きがとてもよい「ナラ」、色合いがよくてなんにでも合う「クルミ」、甘くマイルドな香りが特徴的な「リンゴ」などがある。
手間を掛けて作った燻製は、やはり酒の肴に・・・ということになる。特にシングルモルトと燻製のコンビネーションは、まさに至極この上ない組み合わせである。
やはりここは、とっておきの「シングルモルトのロールスロイス」であるマッカランでやるか。いや、今回行った渓流のトラウトたちと「同じ源流」の白州は相性が抜群だと想いを馳せながら。。
なんとも悩ましい今日この頃である。
我思う、ゆえに我あり。